現行 5 冊の実測と、事業が増える先を見込んだ設計

wiki は 5 冊から増えていい。増えるのは記憶置き場ではなく判断データの資産だ

結論: wiki は増やしてよい。増えるのは記憶置き場ではなく、事業と顧客ごとの判断データの資産だからだ。効くのは 1 冊への統合ではなく、冊をつなぐ層を作り、立てる基準と畳む基準を先に決めておくことだ。
macker 艦隊の wiki 群の概要図。いまの 5 冊が事業ごと・業界ごと・顧客ごとの冊へ増え、その下をつなぐ層と保つ層が支える
図 1 — いま 5 冊の wiki が増えていく先と、増やす層の下に敷く 2 つの層。真ん中のつなぐ層がまだ無い。
  1. 問いは「事業ごとの wiki が増えまくるイメージで合っているか」。合っている。
  2. 1 冊にまとめて中で仕切る案は却下済み。分けることが、仕組みが自動で守る形から、人が守るルールへ格下げされてしまうため。
  3. 今日の実測では、情報が流れ込んでいる冊だけが答えを返した。personal-wiki は 33 項目すべてに答え、llm-wiki は 4 問中 3 問が 0 件。

答えを返したのは、情報が流れ込んでいる冊だけだった

今日、macker 艦隊 (Mac 数台をつないだ作業環境) が持つ wiki 5 冊のうち 2 冊に、実際の質問を投げた。どの冊にも、質問に答える担当 agent (司書) がいる。llm-wiki には 4 問投げて、答えが返ったのは agent を動かす土台まわりの道具についての 1 問だけだった。

残りの 3 問 (会社情報 / 診断サービスの市場 / AI の評価 (evals) を手がける企業) は、揃って 0 件。司書の受け答えは誠実で、作り話をせず、どこを探したかを見せた上で「無い」と答えた。答えの元になる中身が無かっただけだ。

同じ日に personal-wiki へ作業の副産物をまとめて流し込むと、直後の検収で覚えているかを問う 33 項目すべてに答えた。担当の境界も自分で守り、会社一般の問いには「担当外、llm-wiki へ」と自分から返す。違いは司書の出来ではなく、情報が流れ込む経路があるかどうかだった。構造をいじる前に、まず流入を設計する。

聞いた数 → 答えが返った数 2026-08-28 llm-wiki 情報の流れ込みなし 1 / 4 問 (25%) personal-wiki 情報の流れ込みあり 33 / 33 項目 (100%) llm-wiki の 0 件: 会社情報 / 診断サービスの市場 / AI の評価 (evals) を手がける企業 personal-wiki は境界も自分で守る (会社一般は担当外、llm-wiki へ と返す)
図 2 — 同じ日に 2 冊へ質問を投げた結果。差が出たのは司書の出来ではなく、答えの元になる中身があったかどうか。

増える冊は 3 つの型に分かれ、最後の型は商品になる

増え方は 3 つの型に分けられる。事業ごと (型A) の 1 冊は顧客・その分野の判断・事故と学び・言葉づかいを持ち、寿命は事業と同じで、売るときは冊ごと相手に渡る。業界ごと (型B) の 1 冊には「何を通して何を落とすか」が溜まり、その業界の当たり外れを見分けるモデル (目利きモデル) の原料になる。

3 つ目 (型C) は顧客ごとの 1 冊で、これは社内の道具ではない。AI が作ったものを専門家が通す・落とす仕組みを商品にしたとき、その承認と差し戻しの履歴は顧客のものになる。冊そのものが商品になる。

型が分かれる以上、機密の区分も冊ごとに違う。立てるときに personal 級 (外へ出さない) / 社内 / 顧客のもの の 3 つから宣言しておく。

増える 3 つの wiki の型と、外へ出ていく向き ① 型A: 事業ごとの wiki 誰のものか 事業 1 つに 1 冊 中身 顧客・その分野の判断・ 事故と学び・言葉づかい 寿命 事業と同じ 売るとき冊ごと渡る ② 型B: 業界の判断 wiki 誰のものか ある業界 中身 何を通し何を落とすかの判断 役割 将来の目利きモデルの 原料になる ③ 型C: 顧客の判断 wiki (= 商品) 誰のものか 顧客 中身 承認と差し戻しの履歴 位置づけ 社内の道具ではなく 商品そのもの 社内 業界 顧客のもの 機密の区分 (立てるときに宣言する) personal 級 = 外へ出さない・仕組みで分ける 社内 顧客のもの
図 3 — 3 つの型。右へ行くほど社内から外へ出て、顧客ごとの冊は商品そのものになる。

増やす層の下に、つなぐ層と保つ層を敷く

増やす層は安くていい。1 冊 (wiki 1 つ) は、文書の置き場 (git のリポジトリ) と司書 agent と問い合わせ窓口の組で、型を決めれば量産できる。冊が増えるのはこの層だけで、ここを絞る理由はない。

足りないのはつなぐ層だ。各冊が守備範囲の一覧を 1 枚で公開し、呼ぶ側は既定の宛先 (本人が絡む問いは personal-wiki から) を持つ。冊と冊の境目には行き先メモだけを置き、中身は複製しない。事実の種類ごとに、本体を置く冊を 1 つ決める。

保つ層があるから、冊が増えても壊れない。司書の指示書は 1 つの版を全冊に配り、冊ごとに答え方がばらけないようにする。新しい冊は流入経路・想定読者・検収の問いの 3 点セット無しに立てない。定期的にちゃんと引けるかを試し、引けなくなった冊は親へまとめるか凍結する。

増やす層 ここで冊が増える。1 冊 = git のリポジトリ + 司書 agent + 問い合わせ窓口。型を決めて安く生む personal-wiki 本人のこと llm-wiki 外の世界 develop-wiki 技術 design-wiki デザイン ai-contents 自動で集める + これから 増える冊 つなぐ層 いま欠けている層 — 冊をつなぐ 4 つの部品 ① 守備範囲の一覧 どの冊が何を 知っているかを 1 枚で公開する ② 既定の宛先 本人が絡む問いは まず personal-wiki 迷えば複数へ同時に ③ 行き先メモ 冊と冊の境目には 置くのはメモだけ (中身は複製しない) ④ 本体の置き場 事実の種類ごとに 本体は冊 1 つだけ 他はそこを指す 保つ層 増殖に耐えさせる 4 つの決まり ① 司書を版で配る 冊ごとに言うことが ばらけない ② 立てる基準 3 点 流入経路・読者 ・検収の問い ③ 定期の点検 ちゃんと引けるか 定期的に試す ④ 畳む基準 親へまとめるか 凍結する
図 4 — 3 層。増えるのは一番上だけで、真ん中がいま無い。

5 冊は事業ごとの 1 冊を経て、顧客ごとの 1 冊へ

いまは艦隊の記憶として 5 冊。課題は宛先選びの誤りと、流れ込む情報が無い冊があることの 2 つに尽きる。

2026-27 に事業が増えるなら、始めた時点で必ず 1 冊立てる。効き目は 3 つ。会社の知識が人にも読める形で残ること、買収や資本提携の調査で事業の記憶ごと渡せること、初めて入る agent が 1 回聞けば立ち上がること。

その先で、専門家が通す・落とす仕組み自体が商品になる。顧客の承認と差し戻しはその顧客の冊に溜まり、束ねて構造化・匿名化したものが業界の目利きモデルの訓練材料になる。内側で使っている記憶のやり方が、そのまま商品の中核になる。そのとき wiki 群は、会社の判断データを資産として並べた貸借対照表になる。

1 いま・2026-08 5冊 (艦隊の記憶) personal-wiki llm-wiki develop-wiki design-wiki ai-contents 課題 ・宛先選びの誤り ・情報が流れ込まない冊がある 社内の記憶 2 事業が増える・2026-27 事業を始めたら必ず1冊 効き目 (3つ) ・会社が読める 人も読める布石 ・事業が持ち運べる 買収・資本提携で渡せる ・初めての agent が 1回聞けば立ち上がる 会社の資産 3 検収の仕組みが商品になる 顧客ごとに1冊 判断 wiki が商品になる ・承認と差し戻しが その顧客の冊に溜まる ・その束が業界の目利き モデルの訓練材料になる 到達点 wiki 群 = 判断データの 貸借対照表 (資産の側) 商品
図 5 — 3 段階。冊の性格が、艦隊の記憶から会社の資産、そして商品へ変わる。

増えて出る問題 4 つは、心がけではなく仕組みで止める

増やすと出る問題は 4 つある。空っぽの冊が並ぶ、機密を置き間違える、答えを待つ時間が伸びる、宛先選びの誤りが冊数ぶん増える。

答えが返るまで、opus を強めに回す設定 (opus/high) で 1 問あたり 1〜3 分かかる。冊が増えて頻度が上がれば持たないので、司書を段に分ける。単純な探しものは haiku や sonnet に任せ、束ねた回答だけ opus に回す。

宛先を決める仕組みは補助であって、関所にはしない。関所が誤ると全部外れるので、守備範囲の一覧と既定の宛先で抑えるほうが安全だ。1 冊にまとめて中で仕切る案を採らないのも同じ理由で、分けておけば仕組みが守ってくれるが、まとめてルールで守るのは自己申告に頼ることになる。

増えて出る問題 歯止め 1 空っぽの wiki が並ぶ 情報が流れ込まない状態が 冊数ぶん増える 立てる基準 流入経路・読者・検収の問い 3点セット無しに立てない 2 機密の置き間違い personal 級が事業側へ漏れる 機密の区分を宣言する 宣言を宛先選びが守る (まとめて自己申告にしない) 3 答えを待つ時間が長い 1問あたり opus/high で 1〜3分 司書を段に分ける 単純作業は haiku/sonnet 束ねた回答だけ opus 4 宛先選びの誤り 冊数に比例して増える 守備範囲の一覧と既定の宛先 宛先選びは補助、関所にしない (誤ると全部外れる)
図 6 — 4 つの問題と、それぞれを止める仕組み。どれも運用の心がけに頼っていない。
今日から: 呼ぶ側の既定を 1 行足す (本人が絡む問いはまず personal-wiki)。llm-wiki へ情報が入る道を 3 本つくる (外の会社や人を調べたら要点を置く / ai-contents の素材から残す価値のものを移す / 戦略に効く領域を意図して調べる)。行き先メモを、まず 1 つ置く。まず 1 社、atrae について llm-wiki に項を作り、そこに「経緯は personal-wiki にある」と書き添える。
今日の実測の内訳と、5 冊それぞれの担当範囲の表3 段落 + 表 5 行

llm-wiki への 4 問の内訳。会社情報 0 件 / 診断サービスの市場 0 件 / AI の評価 (evals) を手がける企業 0 件。答えが返ったのは agent を動かす土台まわりの道具の 1 問だけ。

宛先選びは fable クラスの agent でも外した。本人に関わる問いを llm-wiki へ送ったが、正解は personal-wiki だった。

personal-wiki は同じ日に流し込んだ直後、覚えているかを問う検収 33 項目すべてに答えた。担当外の問いは自分から llm-wiki へ回した。

wiki担当する範囲今日の実測
personal-wikiオーナー本人のこと検収 33 項目すべてに回答
llm-wiki外の世界 (会社・人・記事)4 問中 3 問が 0 件
develop-wiki技術測っていない
design-wikiデザイン測っていない
ai-contents自動で集めた素材測っていない